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 生態系は,森林・草原生態系や河川生態系,沿岸・海洋生態系などのように細分化された各生態系によって構成されていますが,各生態系は分断的ではなく移行帯(エコトーン)でつながっています.このつながりは,これまでの物質循環学的研究の蓄積が示すよう,そして近年生態系間相互作用研究が注目されているよう明らかです.また,生態学は,生物の生活の法則をその環境と関係で解き明かす科学と定義されています.したがって,生態系を理解するためには,個体の形質を司る遺伝的基盤,行動,個体群及び群集動態などの生物的知見に加え,物理的・化学的視点などの非生物的知見,さらには物質循環や生態系間相互作用を含む,分野横断的アプローチが必要であるといえます.これらのことは,様々な分野の研究者同士が知識及び研究成果の共有を進めること,研究者らがつながり連なり,生態系の包括的理解を目指していくことが必然であることを示唆しています.

 本シンポジウムの舞台となる道東地方は,海水面の進退による湿地形成に代表される地史的背景や,千島列島の要素を含む独特な生物相をもつこと,寒流の影響により冷涼な気候であることなど,道内でもユニークな地域のひとつにあげられます.これら特色をもったこの地域では森林,陸水,沿岸域,海域などをフィールドとした幅広い題材の研究が現在進行中です.

 道東森里海連環シンポジウムは,道東地方における生態系の包括的理解をすすめるために,道東地方もしくは道東地方を含む広域で研究を展開している若手研究者が集い,各分野の情報を共有することで、ひとつの地域の森や川,海で何が起きていて、それらが互いにどうつながっているかを知る手がかりをさぐり,道東生態系の解明,そして生態学の発展に寄与することを目的としています.

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